木をブッタギル①
2023年11月2日記載
悪いことって…したい!と思う。
でも悪いことはしてはいけない。でも悪いことでも必要ならばしてもいい。
って、言うほどの話ではないが…
山際の幹線道路沿い。木がたくさん生えている。少しづつ成長して邪魔になる。
車の通行に支障をきたすようになる。
枝が伸び垂れ下がり、通行中の大型車に当たってしまうなど…
そうなれば高所作業車で枝をカットする。
台風などで竹林が軒並み道路上に垂れ下がり、大掛かりな交通規制が必要になることもある。
夏から秋かけて行われる草刈りも、
同じような意味合い。つまりこの手の公共工事はよくあります。
題名の『木をブッタギル』
大きな木を全て取り去ってしまう。多くはないがこの工事の現場も何度か経験しました。
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木をブッタギル②
2023年11月4日
大抵は高所作業車とクレーン車で行う。
クレーン車のワイヤーで木の上部を結んでおく。高所作業車の作業員がチェーンソーで幹を切り取り、クレーン車が持ち上げる。
巨大なハサミを付けたユンボで、木の幹を直接ジョキン!なんてのもありました。
さてここで紹介する話は『木をブッタギル』初めて現場でのことです。
四国電工の工事。場所はすっごい山奥。
高所作業車一台。トラックニ台。ある民家の前に止まる。眼下には絶景が広がる。
電線はあるが何の工事か分からない。作業員はおもむろにチェーンソーを取り出す。
えっ?と思いました。
確かに民家の前には、高さ10㍍はある神木のようなクスノキがあるが…
*クスノキだったかな?よく覚えていない。とにかく広葉樹の立派な木。
木の下には電線が通っているが、枝が寄り掛かっている。邪魔になるから木を根こそぎなくしてしまうという訳だ。
こんな場合、普通は邪魔な枝のみをカットするのだが、木を全て切り倒してほしいと、民家の人に依頼されたのだろう。
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木をブッタギル③
2023年11月5日記載
段取りを確認後。作業開始である。
私は側に立って交通誘導。でも田舎の山道。車なんて通りません。
作業員二人は高所作業車に乗り込み上昇、チェーンソーでバンバン切り落としていく。
最初は葉っぱの付いた枝、そして枝の幹を切り落とし、下のトラックに投げ入れていく。
荷台が一杯になると、トラックはどこかに持っていく。もう一台が下につく。
確か… 幾らかで売れるとか言ってたかな。そんなことはともかく…
樹齢数百年はあろう立派な巨木が、見る見るうちに幹だけになってしまう。
最後は幹をワイヤーに結び、慎重にチェーンソーで根元を切り取る。
トラックのクレーンにて持ち上げる。掃除と後片付けにて終了。
今朝あった神木のような巨木は、切り株のみ残して跡形もなく、なくなってしまった。
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木をブッタギル④
2023年11月6日記載
この木が刻んだ歴史。歩んだ時代。
それらがあっという間に、無慈悲になくなってしまった。見ていて残酷である。
作業中私はそんな思いにふける。
仕事とは言えど、必要だとは言えど、とんでもなくひどいことをしている。
悪いこと… だという感傷に浸る。木には感情はないだろうが…
でもひどくても、悪いことであっても、仕事なんだから、必要なんだから…
そう思っているうちに、木には悪いけれど何だか楽しくなっていく。
私がそんな気分になった頃、作業員も同じ気分になったのだろうか?
見れば二人共がニコニコ顔。夢中になってブッタギルっている。声を張り上げている。正にハイテンション。実に面白そうだ。
何が言いたいかって?
誰だってそうだと思う。悪いことをするほど面白いことはない!ということです。