収録文章

📝納得できる人生  06年1月5日
📝犬との交流  06年1月22日
📝いたどりとカキ氷  06年6月18日
📝携帯ショップの人  06年5月23日
📝木工家具職人  07年6月5日
📝ツバメの巣  23年5月29日
📝続ツバメの巣  23年6月12日
📝続々ツバメの巣  23年6月28日

*ホームページを始めた頃、
書いた文章をいくつか徳島新聞の夕刊『ちょっとええ話』に投稿しました。それをまとめて掲載したいと思います。
5回投稿 内3回掲載 (2022年1月15日記)

納得できる人生
2006年1月5日記載

私は現在仕事をしている。その前は三年以上自宅に引きこもり状態だった。

一応大学を出て就職したが、会社の人間関係がどうしても苦手で「こう言えば、ああ言えば」とか思うのにどうしても勇気が出ない。

ストレスを感じて仕事にも影響し、どうしてもやる気になれない、自己嫌悪になり、ちょっと嫌なことがあるとあっさりと辞めてしまう。

そんなことを何度か繰り返し、30才少し前に自宅に引きこもってしまった。昼夜逆転のひどい生活のため、体調を崩した。

このままではいけないと思っていた時、
インターネットで、阪神大震災で亡くなった高校の同級生の追悼手記を見た。

医師を目指し道半ばで無念の死を遂げた彼。
追悼手記には彼のそれまでの人生について書かれてあった。

あまりにも素晴らしい人生。
それに対して私の今までの人生は… もう一度頑張って自分なりに納得できる人生を歩もう。

そう思うようになりました。

*この文章は 2006年1月7日 の徳島新聞夕刊『ちょっとええ話』に掲載されました。

*当時は社会復帰する少し前。
何となく書いて投稿したら、たった2日後に新聞に載ってしまいました。うれしかったですね。少しの自信と少しの調子に乗り、いくつか投稿することになります。
 (2022年1月15日記)

犬との交流
2006年1月22日記載

私はたまに早朝近くの神社に散歩に行く。
150段程の石段があり、登ると社殿がある。一気に駆け上がると息があがる。

上に着くと、いつもその神社に放し飼いにされている犬がいて、私に向かって吠えてくる。

犬は嫌いではないが、吠えられるといい気分はしない。どうにかして仲良くなろうとして近づいてみたが、彼は興奮したままだ!

私はあきめてその場に座り込んだ。
すると彼は吠えるのをやめ、近づいてきてクルクル回ったりしてスキンシップするのだった。

「 …そうか!私が座ったことで、安心して近づいてきたのか」

確かに犬にとって、立っている人はかなり大きく怖いのだろう。同じ目線になったことで、彼は安心したのだ。

もしかしたら、人と人とのコミュニケーションも同じで、相手のことを考え、思いやりや同じ目線で接することがうまくいく秘訣ではないか。

そうすればどんな立場の人とも、自然に接することができるのかもしれないと思いました。

気分をよくした私は次の日も神社に行った。
ところが彼はいつもの所にはいない。探してみると社殿の横の社務所の横に座っていた。

私に向かって吠えてきたのでしゃがんでみたが、彼は吠えるのをやめない。

「あれ?」と思いよく見てみると、
彼のいる場所はワラが積まれてあり、そのテッペンで休んでいたようだ。

プライベートルームなのだろうか。
犬も人も同じで、いくら仲がよくても、自分のプライベートを勝手にのぞかれるのは、やっぱり… イヤなんだろうな。

この文章は2007年3月3日の徳島新聞夕刊『ちょっとええ話』に掲載されました。

*『ちょっとええ話』は500字まで。ホームページ掲載用に少し長くしました。前回の初掲載に気分をよくして、またすぐに書いたもの。ところが一か月経っても音沙汰なし。ボツか… と諦めていたら、なんと3月3日ひな祭り日に、しょげ返った犬の挿し絵と共に掲載されたのです。その時の新聞は、今も大事に保管しています。
 (2022年1月15日記)


いたどりとカキ氷
2006年6月18日記載

5月の連休中のこと。
私は車でドライブ。ツツジで有名な徳島県山川町にある高越山に行きました。

時期が少し早かったようで、
残念ながら、ツツジはあまり咲いてはいませんでした。でも五月晴れのぽかぽか陽気。私は気分よく散策していました。

ツツジ園の前の広場に露店が並んでいて、店主が何人か広場に座って、楽しそうにしゃべっておりました。のどかな風景です。

私は引き寄せられるようにカキ氷屋に行き、コーラ味を頼みました。

「これ、あげるよ」店主のおじさんは、いたどりを私に渡そうとしました。

「いたどりですか?
 そこら辺にいっぱいあるじゃないですか?」

おじさんはいたどりを私の前に置き、微笑みをうかべながら、カキ氷を作っています。しばらくの間。何とも言えずさわやかな雰囲気。

「どうやって食べるのでしたっけ?
 子供のときに食べた記憶はあるのですが… 」

すると「よっ!手~広げてみて」横にいた別の露店の店主が、私の手のひらに一つまみの塩をくれました。いたどりに塩をかけて、カキ氷と交互に食べてみてと言う。

「… いいんじゃないですか?
 カキ氷の甘さとちょうど合うと思いますよ」

五月晴れのぽかぽか陽気。
何とも言えないさわやかな交流でした。

*これはボツ作品。前回の後、2つ書いて投稿した内の1つです。私はいいと思いますが、ダメと言われれば確かに納得です。もう一つは『携帯ショップの人』(2022年1月15日記)


携帯ショップの人
2006年5月23日記載

先日近くの携帯ショップに、
携帯電話を購入しに行きました。その時対応してくれた店員さんは、何だか怖そうで、やたら早口でしゃべる。

見た目もすごい。いやケバイ。
仕事で携帯電話の最先端のことを知っておく必要があるから、化粧品や髪型なんかも最先端!

という訳なのか?よく見れば美人らしいが、私には特殊メイクにしか思えない。

そんなことはともかく…

購入の際に身分証明書が必要なのだが、免許証の住所変更をしていなかったため、保険証以外に住民票が必要だと言われた。

私は何とか頼み込んだが、
「それではダメです」と一喝された。

普通なら大目に見てくれるところだ。
なかなかできることではない。イヤな感じは一切しない。むしろいい気分である。だってその通りなんだから。

次の日住民票を持って店に行き、「これでいいでしょうか」と言うとその人はよし!という表情をしてテキパキと仕事をはじめた。

こういう一見不器用で、そして一生懸命に生きている人。私は好きである。

*これもボツ作品。『いい話』ではないな…
 (2022年1月15日記)

木工家具職人
2007年6月5日記載

私は現在、木工家具職人を目指して修行をしている。木の桟やベニヤ板を切り、接着剤で貼り付けて寸法どおりにカットし、組み立てる。

昔とは違い、機械が導入されていることもあり、さほど難しい作業ではない。

でも正確にきれいに、丈夫に仕上げるには、職人の熟練の技と工夫が要求される。簡単なようで奥が深く、難しいものである。

私は今までいろいろな職業を経験してきた。
ストレスがたまり、ちょっと嫌なことがあるとすぐ仕事を辞めてしまうことの繰り返し。でも今はそういう気にならないのである。

そりゃ嫌な事だってある。そして毎日オガクズまみれに汗まみれ、給料も低い。

でも休憩中に思う。時間が止まったような、
のんびりとした雰囲気。子供のように素直に感情を表現する素朴な人たち。木に囲まれているからだろうか自然に生きている。

誰にでもできる。だから難しい。私にとって、木工家具の世界は居心地のいい場所である。


*この文章は2007年6月25日の徳島新聞夕刊『ちょっとええ話』に掲載されました。

*この頃は木工所で働いていて、久しぶりに投稿しようかなと思い書いたものです。ちなみに木工所で働いたのは2年程。ストレスはなかったが結局は諦めました。

今は分かります。私に向いてる仕事とは、何のやりがいのないどうでもいい仕事なのであります。今の仕事はそんな感じです。

だってしょうがないじゃないですか。
自分の気持ちに正直になる。出てくる答えはいつも同じ『私は仕事に興味がない』のです。

*この話を、何処かの新聞の『ちょっと悪い話』に投稿しようかな。(2022年1月15日記)

ツバメの巣
2023年5月29日記載

私は交通誘導警備員。
たまに駐車場の警備で行くある施設にて、ツバメの巣を見つけました。

見つけて思わず我が目を疑いました。
警備員の待機所の扉のすぐ上。高さは2㍍ほど。手を伸ばせば届きます。薄い灰色の泥に枯れ草が混じっている典型的なツバメの巣。

仕事は2つある駐車場の出入り口を3人で交代で行います。1人は待機所にて休憩。

私はその現場は一ヶ月振り。
この日は梅雨入り初日で曇り空。朝から近くでツバメが何羽も飛んでいる。待機所に入ろうとすると近くでツバメが私を見ている。扉を開けるとツバメが飛び去っていく。

なぜなんだ?で見つけました。いつもここで仕事をしている警備員に聞くと、知らない間にできたそうで卵もあるとかないとか…

後で確認したらその施設には、
いくつか古いツバメの巣があります。でもそれは全て手の届かない高い場所。

今年のツバメは、
大変な場所に巣を作ったものだ。扉を開けると飛び去って、しばらくすると巣に戻り、人が近づけは飛び去っていく。

気を使って仕方ない。
よくこんな状態で巣を作れたものだ。とにかく無事にヒナが巣立つことを願うばかり。

私もこの現場に来た折には、
できるだけ、そっと扉を開けることにして、見守りたいと思います。

巣の中にはツバメがいる。5㍍離れた場所からカメラをズームアップして撮影。これ以上近づくと飛び立って逃げてしまいます。

*一応投稿しました。理由?『ちょっとええ話』を5から6話にしたかったので…

続ツバメの巣
2023年6月12日記載

ある施設の警備員待機室にて、
ツバメの巣を確認。それから約二週間が経ち、また仕事でやって来ました。さてさて…

ツバメがの姿はっきりと、
50㌢までは近づける。でもドアを開けたら飛び去ってしまう。こんなことで子育ては大丈夫なのでしょうか?心配だな…

飛び去ったツバメは巣に戻ろうとする。
2㍍の距離にいると巣に戻る。でもそれ以上近づくと途中で引き返し、空中でウロウロ…

ツバメはつがいで、交互に巣の中にいる。もう一羽は外でエサを獲っているか?2羽が一緒になることはほとんどない。

巣はどんな様子なのか?気になります。いけないとは思ったが、イスに立って中を撮影。

一度だけです。もうしません。今日だけ…
さて中は… タマゴではない。ヒナでしょうか?朝10時の撮影。寝ているのかな?

本日の観察はここまでにします。
う〜ん… もう少し… いや!ダメダメ

*新聞投稿の方は多分ボツ。ツバメに関する別の人の似た話が掲載されていたので…

続々ツバメの巣
2023年6月28日記載

さて前回から2週間とちょっと経ち、
再びこの現場に仕事に来ました。イヤイヤ… うれしい光景です。

ツバメの巣には、ヒナがいます。
心配でしたが、すくすくと成長している。実は前回のヒナの様子から、死んでいるのではないかと思っていたのです。

  • ヒナがすくすくと育っている

  • ヒナは5羽いる 窮屈そうだ

  • ドアのすぐ上 本当に気を使う

  • フン用に… 職員さんも応援!

それにしても気を使う。本当にドアのすぐ上。バタンッ!なんて以ての外。までも、ヒナも慣れた感じでじっとしています。

職員さんも応援。フン用に新聞紙を下に敷いて、一日一回交換しています。警備員の一人は、制服にフンを付けられていました。

でもアップで見るとすごくかわいい。
少々のことは許してしまう存在。お客さんも時々見に来ています。

さて親ツバメですが、ヒナの食べ物を与えるために大忙し。夫婦で朝からひっきりなし。

多い時で1分半に1回の頻度。30分来ない時もありますが、見ている限り1日中です。

  • 親ツバメがヒナに食べ物を与えている

  • 夫婦で頑張っている

  • すぐに飛び立ち食べ物探し

観察の結果、食べ物は小さな虫です。
緑色の小さなバッタとか黒っぽいハエかな?を食べていました。調べてみたら、羽根モノの小型の昆虫が多いそうだ…

にしても、巣はヒナでギュ〜ギュ〜詰め。
親ツバメは、どこで寝ているのでしょう?調べてみたら、巣は子育ての場で住処ではなく、どこか近くで寝ているそうである。

… スマホで調べれば、すぐ分かってしまう。便利でいいのだけれど、何だか味気ない気も…

さてこの厄介な場所にあるツバメの巣。
関わる全ての人が、温かく見守っている。巣立ちは確実でしょう。

巣立ちの瞬間に立ち会える確率は低い。
次に訪れる時には、空になったツバメの巣が残されているはずです。

ので、ここら辺で終わりにします。

一応下からのアングルで撮影した、親ツバメの連続写真を載せておきます。出来はイマイチ。だけど何度も失敗して苦労したので…

写真をタップして、順番に見て頂ければ、一応動いているように見えます。

それにしても、ちょっと悪戯気分で、
何度かヒナを間近で、じーっと見ました。最初は怖がって身を潜めていたヒナも、段々全く動じなくなり、ヤンチャそうな目で、こちらを見つめるようになりました。

何だか頼もしく思えてきます。
もちろん自然界で生き抜くことは、厳しくて甘くない。5羽のうちどのくらい生き残るのか… でも頑張って欲しいものです。

ツバメには帰巣本能が強いそうで、
何羽かはこの場所に戻ってくるでしょう。そう願っています。でもさすがに… ドアのすぐ上だけは巣を作らないでね。